ACHIVEMENTS

実績・人材育成

利用成果の実績/人材の育成

技術スタッフが科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 研究支援賞を押川技術専門職員、木村技術専門職員が受賞し、4月17日に文部科学省にて執り行われた表彰式に出席しました。

業績名:「透過型電子顕微鏡による多岐にわたる研究開発への貢献」

科学技術分野の文部科学大臣表彰は、文部科学省が毎年、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を、「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。

〈文部科学省 報道発表〉
令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定しました(文部科学省)

宅間 裕子参事官表敬訪問
表彰式

本拠点を利用した優れた業績

本拠点の前身であるナノテクノロジープラットフォーム利用の研究成果(東京大学堂免特別教室)が人工光合成の国際的なコンペティションで1位を獲得しました。

名称:「Fuel from the Sun:Artificial Photosynthesis」
 主催 : EUの機関である欧州イノベーション会議(EIC)  
 受賞者:人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)
 表彰式:2022年12月5日 賞金 :500万ユーロ 
 目的:カーボンニュートラル達成に向けた革新的な燃料製造技術として期待される人工光合成技術の発展を促進すること。
 競技内容:太陽光、水、二酸化炭素を原料とする機能的な人工光合成のプロトタイプ装置を構築し、3日間の屋外運転を行い、小型のエンジンで利用可能な燃料を合成する。製造システムの新規性・完成度、燃料の製造量・製造効率、 エンジン使用にかなう品質、システムの商用化ポテンシャルなどで評価される。

写真中央:東京大学堂免特別教室 上席研究員 山田太郎氏
山田氏がSTEM/XRDなどARIMの設備利用を行っている。

秀でた成果の紹介

ナノテクノロジープラットフォームから引き続き、マテリアル先端リサーチインフラにおいても利用成果の中から特に優秀な利用成果には、文部科学省が「秀でた利用成果」として賞を与えています。 東京大学微細構造解析部門の利用課題の中から複数件「秀でた利用成果」を受賞しています。

  • 令和3年度【優秀賞】 生体内分子機械シャペロニンGroELによるナノ構造東京大学a・東京工業大学b・理化学研究所c
    柏木 大樹a・沈 皓a・丹羽 達也b・田口 英樹b・相田 卓三a, c
    支援者:木村 鮎美(ナノテクノロジープラットフォーム高度専門技術者)

    生体内分子機械シャペロニンGroELを前駆体とし、両端にそれぞれ異なるDNA鎖で修飾されたJanus GroEL(AGroELB)の合成と分離に成功した。Janus GroELの超分子共重合への応用として、二種類の異なるDNAコモノマーとの三元超分子共重合に挑戦した。その超分子集合体の構造解析、及び二重周期性を持つコモノマー配列の可視化を有機材料ハイコントラスト透過型電子顕微鏡JEM-1400(日本電子)、及びクライオ透過型電子顕微鏡JEM-2100F(日本電子)を用い実現した(図1及び図2b)
    成果はDaiki Kashiwagi et al., Journal of the American Chemical Society, 142, 13310 (2020) に掲載され、また、令和3年度「秀でた利用成果」に表彰された。
  • 令和2年度【優秀賞】 非破壊TEM観察による1次元ヘテロナノチューブ構造解析東京大学a・日本電子株式会社b
    項栄a・熊本明仁b・丸山茂夫a
    支援者:押川浩之・幾原雄一

    MEMS加工によって作製されたSi/SiO2 TEMグリッドをCNT合成基板として採用し、シリコン酸化膜上で単層CNTカイラリティ選択成長が可能なCo-W-C触媒ナノ粒子の構造を非破壊TEM観察により明らかにした。本研究手法は、合成と微細構造解析の両輪を必須とする新奇なナノ材料開発を加速させることとなり、一次元ヘテロナノチューブの創成にもつながった。非破壊TEM観察を応用することにより、最内層が単層CNT、外側の複数層が窒化ボロンナノチューブ、更にその周りでMoS2を合成した3種のナノチューブから成るヘテロ構造の合成にも成功した。このような一次元構造は、特有の曲率効果や量子閉じ込め効果を有することから、新物質として基礎研究での展開が期待される。本研究成果は、令和2年度「秀でた利用成果」に表彰された。
    H. An, et al., Sci. Adv. 5, eaat9459 (2019).
    R. Xiang, et al., Science 367, 537 (2020).

高い技術レベルの技術支援者

本事業は高い技術レベルを持つ技術支援者によって支えられています。利用者への支援業務の中から特に優れた支援業務については、文部科学省が各種の賞を与えています。マテリアル先端リサーチインフラでも安定的な事業の持続により支援機関の技術レベルを年々向上させています。東京大学ではナノテクノロジープラットフォーム時代から多くの技術支援者が受賞しております。

  • 令和5年度【技術支援貢献賞】「クライオ透過電子顕微鏡を主とした技術支援」木村 鮎美
  • 令和4年度【技術支援貢献賞】「NanoSIMSを用いた高分解能元素分布解析の支援」竹内 美由紀
  • 令和3年度【技術支援貢献賞】「より良きXRD測定のための技術支援」府川 和弘

また、支援業務を行っている技術者に対して文部科学省は、技術の熟練度に応じてエキスパート、高度専門技術者、専門技術者の3種類の職能名称を付与しています。令和5年までに、7名にエキスパート、5名に高度専門技術者の職能名称が与えられています。これらの高い技術レベルの技術支援者により利用者は各自の研究に専念することができ、良質な研究成果を生み出しています。