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実績紹介

絶縁体試料のSIMS分析

絶縁体は分析の難しい試料である。チャージアップを抑えて測定を行い良い結果を得るためには、電子銃の調整、測定領域とビームの電流量また走査速度などの適正なバランスを見つけなければならない。竹内は絶縁体試料についても多くの測定支援を行っている。

課題「セラミックスのSIMS分析」では、セラミックス膜中の酸素透過挙動に関する解析を行うことを目的としている。絶縁性の異なる種々のセラミックス試料中の同位体酸素トレーサ(18O2)分布について安定して測定を行い、約100nmの空間分解能で酸素同位体分布を示すことができた(図1)。酸素の透過性について定量的な評価が可能となり、得られた成果はこれまでに5報の論文として公表されているほか、一部は平成28年度のプラットフォーム事業の「秀でた利用成果」としても紹介された。(A-15-UT-0379, A-16-UT-0020, A-17-UT-0002, A-18-UT-0201, A-19-UT-0035 )。

S. Kitaoka, T. Matsudaira, et al., J. Am. Ceram. Soc., 100, 3217 (2017),
S. Kitaoka, T. Matsudaira, et al., Mater. Sci. Forum., 879, 966 (2017),
M. Wada, T. Matsudaira, et al., Acta Materialia, 135, 372 (2017),
T. Matsudaira, et al.、Acta MAterialia,151, 21 (2018),
T. Matsudaira, et al., J. Europ Ceramic Soc.,

図1 酸素透過試験後のAl2O3膜表面近傍の断面における18Oマップ。18Oの分布が白色で示されている。酸素の高速拡散経路が粒界であることや、試料による粒内拡散に差があることが明らかになった。酸素ポテンシャル勾配の印加により、Al2O3膜中の酸素の粒界拡散が抑制されるという現象が初めて発見された。
Nano SIMS装置外観